精巣内精子採取術 (TESE)
無精子症
無精子症とは、射精された精液中に精子が見あたらない状態を指します。
この状態には、精子をつくる機能そのものに障害がある場合(非閉塞性無精子症)と、精子はつくられているものの通り道がふさがっている場合(閉塞性無精子症)とがあります。
閉塞性無精子症では、手術によって精子の通り道を再建する(精路再建術)ことが可能です。女性側に特に問題がなければ、その後に自然妊娠に至ることもあります。
一方、非閉塞性の場合でも、精巣内でわずかに精子がつくられているケースがあり、その場合には精巣を開いて、手術用顕微鏡を用いて精子を探索します。この手術は「顕微鏡下精巣精子採取術(micro TESE)」と呼ばれます。

精巣内精子採取術 (TESE)
精巣内精子採取術(TESE)は、精巣から精細管を採取し、その中に存在する精子を回収する手術です。
この手術は、精液中に精子が確認できない方や、極めて精子数が少ない方に対して行われます。
精子の回収に成功した場合には、顕微授精を行います。
当院では、局所麻酔下での手術が可能であり、日帰りでの実施にも対応しています。
主な合併症としては、出血、感染症、精巣委縮、男性ホルモン低下などが考えられます。
TESEには、以下の2つの手技があります。
当院では、開院から2024年までの間に、Simple TESEを468件、Micro TESEを1971件実施しており、世界的にも有数の実績を有しています。
simple TESE (conventional-TESE)
精子は精巣内でつくられていると考えられるものの、精路が閉塞しているため射出精液中に精子が存在しない方(閉塞性無精子症)、あるいは脊椎損傷・ED・精子無力症の方などに対して、この手術は行われます。
これらの原因が疑われる場合、精巣内のどの部位を採取しても精子を回収できるとされているため、切開はごく小さく済み、手術時間もおおよそ20分程度で終了します。

micro TESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)
Micro TESEは、手術用顕微鏡を使用して行う手術で、主に非閉塞性無精子症の方に対して実施されます。
精巣を切開し、顕微鏡下で内部を拡大・観察しながら、より良好な状態の精細管を選んで採取する方法です。
採取した精細管は細かく刻んで精子を探索します。
片側の精巣で精子が回収できない場合には、もう一方の精巣も切開して確認を行います。
手術中の痛みはほとんどなく、術後は5〜6日ほど違和感が残る場合がありますが、局所麻酔での対応が可能であり、日帰りで手術を受けていただけます。