高度生殖医療について

妊娠治療のステップアップとして
さまざまな治療のご提案を
いたします
一般的な妊娠治療で結果が得られない場合は、体外受精などの高度生殖医療へのステップアップを検討します。年齢やAMH(卵子の数の目安)だけでなく、治療経過や事前検査の結果をふまえて、患者さまのご状況に合わせた治療をご提案いたします。他院で高度生殖医療を受けられた方も、ぜひご相談ください。
1つでも多くの卵子を
得るために・・・

一人ひとりに適した
卵巣刺激を選定します
体外受精における卵巣刺激は、「自然周期」「低刺激」「中刺激」「高刺激」の4つの分野に大きく分けられます。体にやさしい方法が患者さんに必ず合うことはなく、卵子の数だけを重視すればよいというものでもありません。当院では、患者さまの卵巣機能やこれまでの治療歴に合わせて、無理のない、適切な刺激方法をご提案することを大切にしています。
当院の痛みへの取り組み

痛みの少ない採卵を目指して
医医療において痛みを軽減することは重要ですが、痛みの感じ方は人それぞれ異なります。当院では多様なニーズに対応するため、無麻酔・局所麻酔・静脈麻酔のいずれにも対応しています。
卵胞数が平均的な場合は、23Gという非常に細い針を使用して局所麻酔を行い、採卵時の痛みの軽減を図っています。
卵胞数が少ない場合など、麻酔のための穿刺と採卵回数が大きく変わらないと想定されるケースでは、無麻酔をご提案することもあります。採卵には、一般的に使用される中でも最も細い部類に入る22Gの針を使用し、出血や痛みの軽減、回復の早さにも配慮しています。

一方、卵胞の数が多い方や、痛みに敏感な方、過去の採卵で不安を感じている方には、静脈麻酔を行うこともあります。麻酔時間を最小限に抑えるため、採卵数に応じて19Gまたは20Gの針を選び、身体への負担を抑えながら対応しています。
このように当院では、患者さまのご状況に合わせて麻酔方法と採卵針を選択し、できる限り負担の少ない採卵をご提供できるよう努めています。
保険診療の体外受精

当院では、採卵や胚移植などの保険診療による体外受精を実施しています。保険診療には年齢や治療回数に制限がありますが、当院では豊富な先進医療との併用が可能です。保険診療の枠内でも、患者さまの状況に応じたさまざまな対応をご提案いたします。
年齢制限
治療計画の作成日時点で43歳未満の方。
回数制限
保険適用による胚移植の回数に応じて以下の制限があります。
- 治療計画の作成日時点の年齢が40歳未満では保険適用の胚移植6回までとなります。
- 治療計画の作成日時点の年齢が40歳以上43歳未満では保険適用の胚移植3回までとなります。
- ただし、出産もしくは妊娠12週以上の中期流産で治療開始年齢・回数がリセットされます。
また、当院では以下の先進医療を併用可能です。
- タイムラプス培養(タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養)
- ZyMot法(膜構造を用いた生理学的精子選択術)
- IMSI(強拡大顕微鏡による形態学的精子選択術)
- PICSI(ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術)
- ERPeak検査(子宮内膜受容期検査2)
- SEET法(子宮内膜刺激術)
- スクラッチ法(子宮内膜擦過術)
- 二段階胚移植術
卵巣刺激(保険)
排卵誘発剤を使って卵巣を刺激し、卵胞(卵子)の発育を促す治療です。採卵できる卵子の数を増やすことで、妊娠の可能性を高めることが期待されます。卵巣刺激には、自然周期・低刺激・中刺激・高刺激といった強さの違いに加え、使用する薬剤の種類や組み合わせ、事前の準備方法など、さまざまな選択肢があります。
精子調整
精液には、精子以外にも精漿や細胞成分、細菌などが含まれており、奇形精子や不動精子も混在しています。そのため、良好な運動精子のみを抽出する「精子調整」が必要です。人工授精・体外受精・顕微授精のいずれにおいても、治療前に精子調整を行い、精子以外の成分を取り除きます。特に体外受精や顕微授精では、より精密な処理が求められます。当院では、精子のDNA損傷などにも配慮し、より良好な状態での受精が目指せるよう、適切な方法で精子調整を実施しています。
体外受精・顕微授精
女性の卵子と男性の精子を体外で受精・培養し、受精卵を子宮に戻す治療です。当院では、保険適用の「ふりかけ法(卵子に精子をふりかけて自然に受精を促す方法)」に加え、顕微授精など複数の受精方法をご用意しています。
胚培養
胚培養とは、体外で胚(受精卵:卵子と精子が受精した状態)を育てる工程を指します。胚を安定した環境で丁寧に培養することは、妊娠に向けた大切なステップの一つです。当院では、患者さまのこれまでの治療歴や胚の発育状況を確認しながら、適切な方法で胚培養を行っております。
妊娠率向上のために(保険)
妊娠に向けたサポートとして、高濃度ヒアルロン酸を含む培養液を用いた治療や、SEET法(子宮内膜刺激術)、子宮内膜スクラッチング(子宮内膜擦過術)などの方法をご案内しています。 いずれの治療も、患者さま一人ひとりの治療歴やお身体の状態に応じて、ご相談のうえ実施いたします。
自費診療の体外受精

保険適用の制限を
超えた方や、
保険診療で十分な結果が
得られなかった方へ
保険の適用条件を超えた方や、保険診療の範囲内でご希望の結果に至らなかった方も、引き続き治療を受けていただけるよう、自費診療をご案内しています。
年齢や治療回数に制限がある保険診療では、特定の検査やお薬が適用外となるケースがあります。そのような場合にも、患者さま一人ひとりのご状況に合わせて、柔軟に対応できる体制を整えております。
当院では、多様な検査と治療法の中から、適切なな治療プランをご提案いたします。ご不安な点やご質問がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
さまざまな卵巣刺激(自費)
排卵誘発剤を使用して卵巣の働きをサポートする「卵巣刺激治療」を自費診療として提供しております。遅延スタート法や成長ホルモン療法、ステロイド療法、FSH調節法、low dose hCG療法、luteal E2療法、ランダムスタート法など、複数の選択肢の中から、患者さまのご状態に合った方法をご提案いたします。
これまでの治療歴や検査結果をもとに、お一人おひとりの体の反応を見ながら、慎重に治療を進めてまいります。
AMH値が非常に低い場合でも、卵胞の発育を目指す治療を行うことが可能ですので、どうぞご相談ください。
polscope法
polscope法とは、卵子内にある「紡錘体(spindle)」と呼ばれる構造を可視化することで、顕微授精の実施タイミングを検討する方法です。 通常の顕微鏡では確認が難しい紡錘体を、特殊な光学装置を用いて観察することが可能です。これにより、卵子への負担をできるだけ抑えながら、顕微授精を進める際の判断材料として活用されます。
透明帯除去培養
胚の状態を評価する際には、細胞の大きさが均等で、フラグメント(細胞の断片)が少ないことが一つの指標とされています。そのフラグメントが増える原因の一つとして、卵子を覆う「透明帯」が細胞質と癒着することがあると言われています。当院では、このようなケースに配慮し、透明帯を取り除いた状態で胚を培養する方法についてもご提案しております。
着床前遺伝学的検査(PGT-A/SR)
体外受精によって得られた胚について、染色体の本数を確認する検査です。一部の胚では、染色体数に異常があると報告されており、それが妊娠の成立や継続に影響する可能性があるとされています。この検査は、より安心して治療を進めたいとお考えの方に向けた一つの選択肢です。ご希望の際は、どうぞ医師やスタッフまでお気軽にお声がけください。
卵子凍結外来

将来に向けた選択肢としての
卵子凍結
将来の妊娠を見据えて、卵子を凍結保存する「卵子凍結」という方法があります。年齢による卵巣機能の変化に備えて行う「社会的卵子凍結」や、がん治療の影響を受ける前に選択される「医学的卵子凍結」など、目的に応じた対応が可能です。
当院では、患者さまのご希望やご状況に合わせて、将来に向けたご提案を行っております。卵子の凍結・融解に関する実績やデータについては、医師より詳しくご説明いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
費用について
注意点・リスク・副作用
・治療後に一時的に痛みが出る可能性があります。
・治療をご予約された場合は、必ずご予約日にご来院ください。