不育症について

不育症に関する専門的な診療をご提供
妊娠は成立するにもかかわらず、流産や死産を2回以上繰り返す状態を「不育症」と呼びます。生化学的妊娠が続くケースも、背景に何らかの要因があることがあるため、必要に応じて検査をご案内しています。
流産の原因としては、染色体の異常、免疫や凝固因子の異常、子宮の構造的な問題、ホルモンバランスや代謝異常(甲状腺・糖代謝など)などが複合的に関与していると考えられています。一概に「これ」といった原因を特定することはできず、検査を実施のうえで、正確に診断する必要があります。
不育症と不妊症は検査や治療が重なる領域もあり、双方を包括的に診ていくことが大切です。当院では、不育症・不妊症の両面からのアプローチに対応できる体制を整えています。
ご不安な症状が続く場合や、原因が分からずお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
不育症の原因
不育症の背景には、抗リン脂質抗体に関連する免疫の問題や、遺伝的要因、子宮の構造的な異常など、さまざまな因子が関わっているとされています。次の妊娠に向けた準備として、これらの可能性を確認するための検査を行うことで、より適切な対応を検討することができます。
当院では、以下のような検査項目をご用意しております。
当院の不育症治療

アスピリン・ヘパリン療法
抗リン脂質抗体が関与しているとされる不育症に対し、妊娠初期からアスピリン(低用量)やヘパリンを用いた治療が行われることがあります。これらの薬剤の使用により、妊娠の維持に一定の効果が期待されるケースも報告されています。
原因不明の不育症に対する取り組み
原因が特定されない不育症に対しては、アスピリン・ヘパリン療法のほかにも、ピシバニール免疫療法やIVIG(免疫グロブリン)療法、ステロイド療法などが検討されることがあります。 特に、これまでの治療で妊娠の継続が難しかった場合や、原因不明の流産が続く場合に、補助的な選択肢としてご案内することがあります。
出血性進行流産に対する取り組み
妊娠中に出血が起き、その後に子宮内の内容物が排出されるケースは、「出血性進行流産」と呼ばれることがあります。このような場合には、いわゆる不育症に対する治療とは異なる対応が必要とされることもあります。状況に応じて医師が慎重に経過を見ながら、適切な治療方法をご提案いたします。不安な症状が見られる際は、どうぞ早めにご相談ください。
流産と診断を受けた方へ

吸引法(MVA)を用いた流産手術
吸引法(MVA)は、子宮の内容物を手動吸引器で取り出す方法で、流産の処置として選択されることがあります。通常の掻爬法に比べて、子宮内膜への負担が少ないとされる点や、子宮穿孔などの合併症リスクの軽減につながる可能性がある点が特徴とされています。
当院では、患者さまのご希望や体調に応じて、医師が適切な処置方法をご提案いたします。ご不安な点があれば、どうぞご遠慮なくご相談ください。

NGS法による高精度絨毛染色体検査
流産の原因の一つに、胎児側の染色体異常が関係しているケースがあるとされています。当院では、こうした背景をより詳しく調べるために、NGS(次世代シークエンサー)法を用いた絨毛染色体検査を実施しております。この検査は、母体由来の血液成分が混入することで起こる染色体判定(46,XX)の影響を抑える技術的特長があり、比較的少量の検体や、時間の経過した検体、ご自宅などで排出された組織の持ち込み検体にも対応可能な場合があります。
詳細や検査の流れについては、下記をご確認いただくか、スタッフまでお気軽にご相談ください。
費用について
注意点・リスク・副作用
・治療後に一時的に痛みが・治療後に出る可能性があります。
・治療をご予約された場合は、必ずご予約日にご来院ください。