銅・亜鉛検査、ビタミンD、甲状腺機能異常、耐糖能|リプロダクションクリニック大阪|大阪市北区の不妊治療専門クリニック

銅・亜鉛検査、ビタミンD、甲状腺機能異常、耐糖能 IMPLANTATION-TEST

銅・亜鉛検査、ビタミンD、甲状腺機能異常、耐糖能

着床がうまくいかない場合、その原因を調べるためにいくつかの検査を行うことがあります。
検査には、大きく分けて「採血で分かるもの」と、「組織を少し採って調べるもの(生検など)」があります。

採血で分かる検査では、生活習慣や食事の内容、栄養バランスなどが関係していることが多く、もし異常が見つかった場合には、生活を見直したり、必要に応じてサプリメントを飲んでいただくことで対応していきます。

当院で行っている検査には、次のようなものがあります。

銅・亜鉛検査

銅と亜鉛は、妊娠に関わる大切なミネラルです。
最近の研究では、銅が多すぎたり、銅と亜鉛のバランスが崩れていると、着床しにくくなったり、流産の原因になることがあると報告されています。

日本人の食事は、銅を多く含むものが多い一方で、亜鉛は吸収されにくい傾向があり、気づかないうちに「銅が多くて亜鉛が足りない」という状態になっている方も意外と多いと言われています。

● 銅が多すぎると…
子宮内膜に銅がたまり、着床のじゃまをする可能性があります。
また、銅は亜鉛の吸収を妨げてしまうため、体のバランスがくずれやすくなります。

● 亜鉛が足りないと…
体の中の銅の量を調整する働きが弱くなり、着床をサポートする力が下がってしまう可能性があります。

このような理由から、当院では銅と亜鉛のバランスを調べる検査を行っています。
どちらも同じルートで体に吸収されるため、銅が多すぎると、亜鉛の吸収が落ちてしまうのです。

妊娠しやすい子宮内環境を整えるためには、
・亜鉛を多く含む食べ物(牡蠣、豚レバー、プロセスチーズなど)を積極的に取り入れる
・銅が多い食べ物(牛レバー、エビ、納豆など)を控える
…といった工夫も大切です。

また、必要に応じてサプリメントで亜鉛を補うことも効果的です。亜鉛はビタミンCと一緒にとることで吸収率が上がります。
当院で取り扱っている亜鉛サプリメントには、亜鉛15mgに加え、ビタミンCも配合されています。

ビタミンD

ビタミンDは、妊娠にとってとても大切な栄養素です。
卵巣の働きをサポートして、卵子の数や質、排卵にも関わっているほか、
子宮の中で赤ちゃんが育ちやすい環境を整えるためにも欠かせません。

たとえば、子宮内膜の免疫のバランスをとったり、炎症を抑えたりする働きがあり、
着床しやすい子宮の状態を作る手助けをしてくれます。
さらに、妊娠中の高血圧や糖尿病といった合併症のリスクを下げる効果もあるとされています。

ビタミンDは、日光を浴びることで体の中で作られますが、
食べ物からもとることができます。
ただし、日本人の普段の食事では不足しやすいと言われています。

そのため、きのこ類や魚類などの食材を意識してとることが大切です。
もし食事だけで十分な量をとるのが難しい場合は、サプリメントの活用もおすすめです。

ビタミンDは「脂に溶けるタイプのビタミン」なので、
脂質を含む食事と一緒にとることで吸収がよくなります。
そのため、1日でいちばんしっかり食べる食後にまとめてとるのが理想です。

ビタミンDをしっかりとって、卵巣の働きや子宮の環境を整えることが、
妊娠につながる第一歩になるかもしれません。

甲状腺機能異常

甲状腺は、首の前のほうにある小さな臓器で、体の代謝やホルモンバランスを調整する大切な働きをしています。
海藻類などに含まれる「ヨウ素」を材料にして、甲状腺ホルモンが作られています。

妊娠を考えるうえで、この甲状腺ホルモンのバランスはとても重要です。
甲状腺の働きが強くなりすぎている(甲状腺機能亢進症)と、早産や胎盤の異常、赤ちゃんの発育が遅れる原因になることがあります。

一方で、甲状腺の働きが弱くなっている(甲状腺機能低下症)と、流産や早産、妊娠中の高血圧、胎盤のトラブルなどが起きやすくなることが知られています。赤ちゃんの発育にも影響する可能性があります。

また、症状がない場合でも、血液検査で「TSH」という値が高く、他のホルモン値(FT3・FT4)が正常な場合は、「潜在性甲状腺機能低下症」と呼ばれます。
この状態でも、着床や妊娠の成立に影響が出ることがあるため、妊娠を希望する方ではTSHの値を2.5以下に保つのが望ましいとされています。

治療には、甲状腺ホルモンのお薬(レボチロキシンなど)を使います。
また、甲状腺の働きが低下している方には、昆布やひじきなどヨウ素を多く含む食品のとりすぎに注意したり、イソジンなどヨード入りのうがい薬の使用を控えることも大切です。

このように、甲状腺ホルモンは妊娠や赤ちゃんの成長にとってもとても重要なものです。
甲状腺の異常は、不妊や流産の原因になることもあるため、妊娠前にしっかりコントロールしておくことが大切です。
必要に応じて、専門の病院をご紹介し、不妊治療の前に甲状腺の治療をおすすめする場合もあります。

耐糖能異常

「耐糖能異常」とは、血糖値(血液中の糖分)がうまく調整できなくなり、血糖が高い状態が続いてしまうことを指します。
最近では、このような状態が卵巣の働きや妊娠に影響することが注目されています。

血糖を下げる働きをする「インスリン」というホルモンが効きにくくなることを「インスリン抵抗性」といいます。
インスリン抵抗性が進むと、体はもっとインスリンを出そうとしますが、効き目が弱いため血糖値のコントロールがうまくいかなくなってしまいます。

このインスリン抵抗性の程度を調べる方法のひとつに「HOMA-R(ホーマアール)」という指標があります。
これは、血糖値とインスリンの値から計算され、糖尿病やメタボのリスクを見るだけでなく、不妊との関係も注目されています。

血糖値が高い状態が続くと、体に「酸化ストレス」がたまりやすくなり、卵子や赤ちゃんになる細胞に悪い影響を与えることがあります。
その結果、卵子の質が下がったり、着床しにくくなったり、妊娠しづらくなることもあります。

そのため、血糖値をしっかりコントロールすることがとても大切です。
耐糖能異常がある方には、まずは食生活の見直しをおすすめしています。
たとえば、糖質(ごはん・パン・甘いものなど)をとりすぎないように気をつけ、たんぱく質や脂質をバランスよくとることで、血糖のコントロールがしやすくなります。