精索静脈瘤

精索静脈瘤とは
精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)は、男性不妊の原因としてもっとも多く見られる疾患のひとつです。
一般の成人男性では約8〜23%、不妊症で受診される男性では約21〜39%にみられるとされており、決して珍しいものではありません。
精巣から心臓へと血液を戻す静脈には、本来「逆流を防ぐための弁」がついています。
ところが、この弁の働きが弱かったり、血管の流れ方に問題があると、血液がうまく流れず、精巣のまわりにたまりやすくなってしまいます。
その結果、精巣のまわりにふくらんだ静脈(コブのようなもの=瘤)ができるのが「精索静脈瘤」です。
なぜ治療が必要か
精巣は、精子をつくる大切な器官です。
その精巣が静脈瘤によって慢性的なダメージを受けると、精子の状態が悪くなってしまうことがあります。
具体的には、以下のような「ストレス」が精巣にかかると考えられています。
● 温度ストレス
うっ滞した静脈の血液は、体温よりも高いことがあります。
そのため、精巣の温度が上がってしまいます。精子は本来、体温よりも少し低い環境で育つため、高い温度は大きな負担になります。
● 酸化ストレス
血液がうっ滞することで、活性酸素や代謝産物がたまりやすくなります。
これらが精巣の細胞に悪影響を与え、精子の質が下がる原因になります。
このような影響によって、精液検査の結果(精子の数・動き・形など)が悪化したり、自然妊娠の確率が下がったりすることがあります。
特に「原因不明の男性不妊」と診断されていた方の中に、実は精索静脈瘤が隠れていたというケースも少なくありません。
診断について
診断には、次の2つの検査を行います。
・触診(立った状態で、陰嚢のまわりにふくらんだ血管が触れるかを確認します)
・超音波検査(血管の太さや、血液が逆流していないかを調べます)
どちらの検査も痛みはなく、診察室で短時間のうちに終わるシンプルな検査です。
少しでも気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。
当院の治療について(静脈麻酔・日帰り・保険適用・土日対応)
軽症の場合には、まず抗酸化ストレスに対応したサプリメントをおすすめしています。
ただし、根本的な治療としては手術があり、「顕微鏡下内精静脈低位結紮術」という方法を行います。
当院で手術を受けていただくメリットは、次のとおりです。
・静脈麻酔で行うため、手術中は眠っている状態で、痛みはありません
・健康保険が使える手術です
・片側あたり約30分で、日帰り手術が可能です
・手術後は1〜2時間ほど院内で休んでいただき、そのままご帰宅できます
・術後1週間で抜糸し、その後は定期的に精液検査で経過をチェックします
・土日も手術を行っており、スケジュールのご相談も柔軟に対応可能です
これまで、「不妊の原因は女性側にあるのかも…」と考えていたご夫婦の中にも、
この手術によって精液の状態が改善し、自然妊娠に至ったケースがたくさんあります。
少しでも気になっている方は、どうぞ当院での手術をご検討ください。