原因不明の流産でお悩みの方へ|リプロダクションクリニック東京|東京都港区の不妊治療専門クリニック

原因不明の流産でお悩みの方へ UNEXPLAINED-LOSS

原因不明不育症に対する取り組み

免疫グロブリン療法(IVIG)

妊娠が何度も上手くいかない――その背景に免疫の働きが関与している場合、免疫グロブリン(IVIG)治療が選択肢になることがあります。この治療法は、不育症に悩む方にとって、新たな道を切り開く可能性を秘めています。

IVIG治療は、免疫グロブリンという成分を点滴で体内に投与し、免疫バランスを調整することを目的とした治療です。不育症の一因として考えられるのは、免疫の過剰な反応。例えば、母体の免疫が「赤ちゃん」を外敵と誤認してしまうような場合があります。IVIGは、免疫の過剰な働きを和らげ、妊娠を継続しやすい環境を作り出します。イメージとしては、免疫の暴走を防ぐ「クッション」のような役割を果たしてくれるのです。
治療は通常、点滴を通じて行われます。1回の投与には数時間を要しますが、特に痛みを伴うものではなく、多くの患者さまが安心して受けられる治療法です。


IVIG治療の魅力は、幅広い適応性にあります。これまでに複数回の流産を経験された方や、原因不明の不育症と診断された方が対象となる場合が多く、他の治療法で成果が得られなかったケースでも希望を持てるアプローチです。

不育症は心の負担が大きい問題ですが、一人で抱え込む必要はありません。IVIG治療は、多くの方が夢に一歩近づくための有力な助けになる可能性があります。当院では、患者さま一人ひとりの状況に応じた最適な治療プランをご提案していますので、まずはお気軽にご相談ください。夢への道を、一緒に歩んでいきましょう。

ステロイド療法

不育症でお悩みの方の中には、「原因がわからない」と言われることに、ただでさえ辛い思いを重ねていらっしゃる方も多いでしょう。そんな中で、ステロイド療法の一つである「プレドニン(プレドニゾロン)」の可能性について少しご紹介したいと思います。これは、まるで「火事場の消火活動」を助ける消火剤のように、体の中で起こる複雑な免疫の反応を抑える役割を果たします。

プレドニンは、免疫抑制剤の一種として、妊娠中にプレドニンが必要とされる疾患(例えば喘息や膠原病、自己免疫疾患など)は多く、過去の使用経験が豊富であり、妊娠中でも比較的安全に使用できる薬剤です。特に「原因不明習慣流産」の方に対して、2014年までに発表された複数の研究結果を分析したメタアナリシスでは、プレドニンの使用により生産率(赤ちゃんを出産できる率)の増加、流産率の低下が報告されています。

ステロイドホルモンは「親戚」のような存在で、体内のさまざまなホルモンと似た性質を持ちます。このため、プレドニンが胎児を受け入れる体の免疫環境を整える働きをしている可能性も考えられます。ただし、まだわからないことも多いため、より大規模な研究で明確な効果が解明されることが待たれます。

当院では、不育症治療におけるプレドニンの使用について、患者様一人ひとりの背景やご希望に寄り添いながら、最善の方法をご提案させていただきます。不安や疑問がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。プレドニンが、皆様にとっての希望の一助となることを願っています。

ピシバニール療法

原因不明の不育症または着床障害を有し、同種免疫異常の関与が疑われる患者様に対しては、ピシバニール免疫療法を行っています。

【作用機序および根拠】
ピシバニールは、日本国内で開発・製造された免疫調節製剤であり、夫リンパ球免疫療法の代替療法として臨床応用されています。高NK細胞活性あるいは同種免疫異常が認められる症例に対し、ピシバニールはNK細胞活性の抑制作用、ならびに妊娠維持に有利な免疫環境への改善効果が報告されています。

ピシバニールは、少量(0.1mL)ずつを皮下注射により、通常10~20箇所に投与いたします。投与後の副反応として、注射部位における発赤、疼痛、および一過性の発熱(通常、投与後1~3日間)が認められることがあります。

ペニシリンに対し過敏症の既往歴を有する患者様には、本療法を実施できません。