男性外来について

男性不妊のご相談も承っております
男性不妊に関する認知は近年広まりつつあり、ご夫婦で受診される方も増加傾向にあります。当院には、男性不妊を専門とする医師が在籍しており、丁寧な検査と診察によって、適切な治療をご提案させていただくことが可能です。まずはお気軽にご利用ください。
男性の生殖メカニズム

精子は精巣の中の
精細管で作られます
精子は、陰嚢の中の精巣(睾丸)でつくられます。精巣内には精細管という細い管が1,000本以上も詰まっており、その一本一本に精子のもととなる細胞が生まれ、約74日かけて精子がつくられます。精子は精巣上体とよばれる場所を通ることで、運動性や受精する能力を高め、成熟していきます。そして、射精のときに40cmという長い精路を通って、尿道の出口から体外に排出されます。 精子をつくる機能(造精機能)や精子の通り道(精路)に問題があると妊娠しにくくなるため、原因を丁寧に精査し、対応していくことが大切です。

子どもの頃の手術が
不妊の原因となることもあります
男性不妊の原因はさまざまです。たとえば、精巣から出ている血管にこぶができ、精子をつくる機能(造精機能)が低下することがあります(精索静脈瘤)。また、子どもの頃に鼠径部や腹部の手術をしたことで、精子の通り道(精路)が詰まってしまうこともあります。なかには、一般的な検査でははっきりとした原因が分からないケースもみられます。いずれの場合も自覚症状は現れないため、自ら異変に気づくことは難しいでしょう。
生殖医療の発展に伴い、こうした原因があっても、お子さまを授かるご夫婦も増えてきています。精液中に精子がいない無精子症の方は、かつて妊娠を望めませんでしたが、現在は精巣内精子採取術(TESE)による精巣内精子使用の顕微授精によって、妊娠の可能性が広がっています。
精子の状態を良くするために
禁煙
喫煙は、生殖機能にさまざまなマイナスの影響を及ぼすといわれています。
たとえば、勃起不全(ED)を引き起こしたり、精子形成に影響を及ぼしたりすることがあります。また、精子の運動率の低下や形態異常の出現を高めるといった傾向もみられます。
精子の運動性が低かったり、異常な形態をしていたりすると、受精能力が低くなり、男性不妊の原因となってしまいます。また、受精に成功したとしても、流産や先天性疾患のリスク上昇が懸念されるため、治療中は禁煙に取り組むことを推奨しております。
ブリーフよりトランクスを
精巣付近の温度が高いと精巣の機能が衰えてしまいます。
そのため、下着は体温がこもりやすいブリーフより、風通しの良いトランクスがおすすめです。
サウナに長時間入らない
高温のサウナに長時間入ると、精巣を熱にさらすことになります。
熱くなったイスに座ると、精巣の温度がますます上がってしまうので、お気をつけください。
ノートパソコンを膝にのせない
パソコンは熱を放出します。
膝にのせて作業していると、その熱が下半身に伝わり、精巣の温度が上がってしまうので、注意しましょう。
禁欲しすぎない
禁欲期間が長すぎると、精子の動率が低下し、精子のDNA損傷率も高くなる傾向があります。精子の生存期間はおよそ3日とされており、それ以上ためると、死滅精子(非運動精子)が増えてしまいます。
精子は常に生産されており、射精を頻回にくり返しても、精子の量が減ることはありません。精子の質を良くするために、禁欲期間は1~2日くらいがよいと考えられます。
男性不妊の原因

精索静脈瘤
精索静脈瘤は、精巣からの静脈の血液が滞り、こぶのようにふくらんでしまう状態です。精子をつくる環境は体温より少し低めが理想ですが、精索静脈瘤があると、陰嚢が温められ、精子がつくられにくくなります。2人目不妊の原因としても、よくみられます。
勃起障害(ED)
性交のときに十分に勃起しない、勃起が続かない状態のことです。マスタベーションは可能ですが、性交渉のときに勃起しないというパターンも多くみられます。治療への不安やプレッシャーによって勃起障害に悩む方も少なくありません。不妊治療のクリニックにご相談いただくことで、解決に向けた治療を行うことができます。
低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
視床下部〜下垂体系の機能低下によって、ゴナドトロピンとよばれるホルモンが十分に分泌されず、二次性徴の欠落や無精子症、性機能障害などを引き起こす疾患です。適切な診断・治療によって改善が期待できるため、しっかり精査した上で治療を進めていきます。
男性不妊の検査
精液検査
マスターベーションなどで精液を採取していただき、精液量・精子濃度・運動率・運動の質・精子の形態・感染の有無などを調べていきます。検査ごとに数値のばらつきがみられるため、1回の検査では正確なデータが把握できないことがあります。複数回検査を受け、適切な診断へとつなげていくことが大切です。
触診、超音波検査
精巣のサイズや精索静脈瘤の有無などを精査するために、触診や超音波検査を行うこともあります。男性不妊を専門とする医師が診療にあたることで、原因をしっかり見極められます。患者さまがご負担なく検査を受けられるよう、丁寧にご説明しながら診療を行っていきます。
染色体検査
採血を行い、染色体の状態を詳しく調べる検査です。無精子症や乏精子症などの発症原因を調べたり、将来への影響を予測したりするために行います。染色体検査によって異常が見つかった場合は、医師より詳しくご説明を行い、サポートしていきます。
精子DNA断片化検査
加齢や生活習慣、ストレスなどによって、精子のDNAが部分的に損傷を受けることが分かっています。精子DNA断片化検査を行うことで、不妊の原因を特定し、治療方針の選択・決定に役立てることができます。検査結果によって、サプリメント摂取や生活習慣の改善などのアドバイスにつなげられます。
AZF検査
精子形成に重要な役割を持つY染色体の欠損などを調べる検査です。この検査はTESE(精巣内精子採取術)の精子回収率に関係しており、TESE前に行うことで、不必要な処置を行わずに済みます。患者さまに必要な治療をご提供するために実施します。
ホルモン検査
男性ホルモンなど、妊娠に関するホルモンの値を調べる検査です。この検査によって、精巣機能や下垂体機能の把握、精巣の障害の有無、閉塞性・非閉塞性無精子症の鑑別、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の発見などへとつなげます。
無精子症と診断された方へ

無精子症と診断された場合でも
できる治療があります
射精した精液中に精子が見あたらない状態を、無精子症といいます。無精子症には、精子をつくる機能が低下した状態(非閉塞性無精子症)と、精子はつくられているが通り道がふさがれている状態(閉塞性無精子症)があり、原因に応じた治療を行うことで、妊娠・出産のチャンスを広げられます。無精子症と診断された場合でもできる治療があるため、まずは私たちにご相談ください。
精巣内精子採取術(Simple TESE)
閉塞性無精子症の方を対象に行う手術です。精巣の一部を切開して精細管を取り出し、精子を見つけ出します。運動性のある精子が多量に見つかることが多く、高確率で精子の回収が可能になります。手術時間は、切開から縫合まで10分程度で終わるため、日帰りで行うことが可能です。また、手術の際は局所麻酔を実施します。
顕微鏡下精巣内精子採取術(Micro TESE)
非閉塞性無精子症の方を対象に行う手術です。精巣白膜を大きく切開し、手術用顕微鏡下で精巣組織を観察し、より良い状態の精細管を選別・採取します。片方の精巣で精子が回収できない場合は、もう片方の精巣も切開することがあります。手術は日帰りで、局所麻酔下で行われます。
TESE-ICSI 精巣内精子使用ICSI
TESEで採取した精巣内精子を、卵子に注入(顕微授精)する治療です。高度な技術が求められる治療であり、良い成績を得るためには豊富な経験と技術が必要になります。当院は、TESE-ICSI治療において豊富な経験があります。
精子凍結保存について

精子凍結保存治療も行っております
当院では、患者さまのご状況やご希望に応じた精子凍結保存を行っております。もともと人工授精や体外受精の治療の一貫として行われていた治療で、がんなどの治療で妊娠の可能性の低下が予測される場合にも適応されます。患者さまにご提出いただいた精液、または手術で採取した精巣内精子を凍結保存できる状態に整え、−196℃の液体窒素タンク内で保管します。
処置当日に来院できない方へ
ご連絡ください
採卵や人工授精処置当日に、なんらかの事情でご来院できない場合は、事前の精子凍結が有効です。ただし、凍結精子による体外受精や人工授精は成績が良くありませんので、凍結精子を使用する場合は一般的には顕微授精がおすすめです。まずは一度ご相談ください。
無精子症、高度乏精子症の方へ
ご相談ください
無精子症、高度乏精子症と診断された場合でも、TESEなどの手術によって妊娠の可能性を広げることができます。男性不妊を専門とする医師が診療にあたり、患者さまに適した治療をご提案いたしますので、お一人で悩まず、まずはご相談ください。
がんと診断された方へ
可能性を広げられます
がんと診断された時点で精子凍結保存を行っておくと、治療後に不妊治療をスムーズに再開しやすくなります。抗がん剤や放射線治療などは、妊娠の確率を低下させることがあるため、将来妊娠をお考えの場合は、がん治療の前にご相談ください。