スムーズな胚移植のために
豊富な種類のカテーテル
胚移植に用いるカテーテルには、多くの種類があります。
スムーズで痛みが少ない胚移植のためには、患者さま一人ひとりの子宮の形や頸管の角度、既往歴などに合わせて、最適なものを選択することが非常に重要です。
当院では、「柔らかくしなやかなタイプ」「ややコシのあるタイプ」「硬く堅牢なタイプ」「太く堅牢なタイプ」など、複数のカテーテルを常備しています。
医師が必要と判断した場合は、事前に試験的にカテーテルを挿入してみる「シミュレーション移植(mock ET)」の確認を行うこともあります。
私たちは、「移植がスムーズであること」「余計な刺激を与えず、胚をやさしく届けられること」が、結果を出すために大切だと考えております。
経腟エコーガイド下移植
胚移植において、胚を「どこに・どのように戻すか」は妊娠率を左右する重要な要素のひとつです。
当院では、原則としてほぼすべての胚移植を、経腟超音波（経腟エコー）を用いたリアルタイムのガイド下で行っています。
経腟エコーは、子宮内の様子をより鮮明に把握できるため、胚移植カテーテルの挿入角度や深さ、胚の配置位置を正確に調整することが可能になります。
結果として、子宮内の理想的な位置に胚を届けることができ、着床率の向上につながると考えられています。
胚移植時の「見える化」は、単に医療者側の安心だけでなく、患者さまにとっても「丁寧に扱われている」という実感に結びつく大切なポイントだと私たちは考えています。
ニトロペン
経膣エコーガイド下に適切なカテーテルを使用して胚移植を試みれば、99％以上の方はスムーズに胚移植が可能です。
しかし、子宮頸管の緊張が強い、子宮頸管が極めて狭い、前屈や後屈が非常に強いなどの理由で、カテーテルの挿入が難しいと予想される場合、移植直前に「ニトロペン（舌下錠）」を使用することがあります。
使用にあたっては血圧などの安全確認を行い、数分で効果が発現し、30分程度で消失します。
当院では、必要があれば医師がいつでもすぐ使えるように準備してあります。
経子宮筋層的胚移植術（TOWAKO method）
ニトロペンまで使って胚移植を試みたがそれでも入らないということは、まずありませんが、それでもどうしても胚移植用のカテーテルが入らないということが極めてまれにあります。こうした方の大半は、子宮頸癌や子宮頸部上皮内癌、あるいは異形成などで円錐切除術を受けたことがあったり、広汎子宮頸部摘出術（トラケレクトミー）を受けた方ですが、子宮頸管が極めて狭い、屈曲が極めて強い場合に、どうしても 経子宮頸管的に移植することが出来ない事例もあります。
通常の胚移植は子宮頸管からカテーテルを入れて胚移植を行いますが、この様な症例には、膣からニードルを子宮に穿刺し、 経子宮筋層的に子宮内腔に胚を移植するTOWAKOメソッドという移植方法があります。高度な方法であり、対応できる施設は極めて少数ですが、当院ではこの方法での妊娠例もございます。
※TOWAKO（永遠幸）とは加藤レディスクリニックのグループ名です。