イントラリピッド療法

イントラリピッド（イントラリポス）療法は、主にナチュラルキラー（NK）細胞活性が高値を示す不育症の患者様を対象としております。
【作用機序および根拠】
NK細胞は、血液中に存在する細胞傷害性リンパ球であり、癌細胞やウイルス感染細胞を攻撃・排除することで生体防御に寄与します。血液中のNK細胞は子宮内へ移行し、子宮内膜NK細胞となると考えられています。通常、子宮内膜NK細胞は胎児を異物として認識するのではなく、むしろ受け入れ、妊娠維持に関与すると考えられています。しかしながら、不育症の一部の患者様においては、強い細胞傷害活性を有する子宮内膜NK細胞が存在し、胎児を排除する方向に作用することが知られています。イントラリピッド（イントラリポス）は脂肪成分を含有する点滴製剤であり、術後栄養補給等の目的で使用されますが、同時にNK細胞活性を低下させる作用が報告されています。

【投与方法、副作用および安全性】 本療法では、NK細胞活性が適切な値に低下するまでイントラリピッドの点滴投与を行います。妊娠期間中においてもNK細胞活性が高い場合には、本療法が適用されることがあります。また、本薬剤は妊娠中の安全性についても一定の知見が得られています。投与に要する時間は、通常約1時間です。

【禁忌】 大豆アレルギーを有する患者様には、本療法を実施できません。

詳細につきましては、担当医師までお気軽にお問い合わせください。